名古屋から車で二時間・のどかな田園風景が広がる猪狩町は、地域特産の黒イチジクがふるさと納税返礼品に指定されたのをきっかけに、高齢化と過疎化が進む限界集落から一転、にわかに活況を呈していた。

イチジク園を営む泉圭太は、嫁と娘に出て行かれてしまい、黒イチジクブームもあって農園のバイトを募集。そこへ現れたのは、名古屋に住んでいたという「鈴木睦夫」と名乗る異様な男。彼は１４年前に女子大生ストーカー殺人事件を犯した元受刑者だとわかる。村を守るため、鈴木睦夫に警戒を強める圭太と友人の純。

一方、出所したばかりの鈴木睦夫の身柄を引き受けた保護司の老人が失踪していることが判明。愛知県警も鈴木を追って、猪狩町に捜査の手を伸ばす。平穏な地域社会に投げ込まれた異物が生んだ小さな波紋が、徐々に広がっていく……!!

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  泉 圭太（いずみ・けいた）

  イチジク農家「イズミ農園」の経営者。小学校が無い村では娘を育てられないと、妻と娘は現在名古屋で別居中。

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  田辺 純（たなべ・じゅん）

  イズミ農園の手伝い兼猟師。圭太の友人。職業柄、猟銃を所持し、また柔道経験者でもある。鈴木睦雄には強い警戒感を持っている。

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  鈴木 睦雄（すずき・むつお）

  旧名・小御坂（こみさか）睦雄。ストーカー殺人事件で１３年間の服役後、元刑事の保護司と養子縁組をし、苗字を変えた。猪狩町へやってきた意図は不明。

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  畠山 努（はたけやま・つとむ）

  愛知県警刑事部捜査一課のベテラン刑事。警察ＯＢの保護司失踪事件を捜査するうち、容疑者の鈴木睦雄を追って猪狩町へ。