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グランドジャンプ連載陣

#5 僕が夢見る、未来の日本バスケット

──先生が、もし好き勝手にデザイン出来るとしたら、日本のプロバスケって、どんなシステムになりますか?

それは、凄い質問ですね(笑)。今やってらっしゃる方々もビジョンを持ってやっていると思うので、迂闊な事は言えないですけど…地域に根ざしたものであってほしいですね。バスケットがそこに住んでる人たちの娯楽であって、地元の人たちと選手たちがお互いに支え合う、そういう形が理想だと思います。

──地元感覚は、大事ですね。

高校野球観てても、それは強いじゃないですか。思い入れって、けっこう大きな力になると思うんですよね。もちろん、地域に根ざしたものでも、企業のバックアップは必要になってくると思いますが。

──ビジネスモデルとなるものは?

ヨーロッパのクラブ的な経営ですかね。トップにプロチームがあって、根っこには子供たちのチームがある。そこで選ばれた子供たちは、プロと同じユニフォームを着てプレイができる。将来的にはプロのチームを目指してプレイを続けていく事ができる。その縦のつながりを作ることが大事だと思います。…まあ夢物語ばかり語っていても仕方がないので、現実的な事から考えていかねば(笑)。

──まずは今回の奨学生に頑張ってもらって。

この奨学金で実際に留学したら、やはりアメリカのバスケットは、日本より断然進んでいるとは思うんです。それでも日本でやってきた事で「これは通用するな、むしろ優れてるな」そういう発見も絶対あると思うんです。

──日本人としての長所や美点が。

それを発見する事が、きっと出来ると思う。今までやってきて、この先も大事にしていこうというものを、きっと発見できると思う。だから、奨学金に挑戦する人たちの個人的な目標は、みんな違うと思いますけど、ゆくゆくは日本のバスケットのために、その経験を活かしてほしいですよね。

──それが長期的な目標ですね。

急に何かが変わるという事はないですが、ちょっとずつ状況を変える事なら出来るはず。そのために一人でも多くのプレイヤーが経験を積み才能を伸ばせる場を提供できればと思っています。

──今さらですけど、本当にバスケを愛しているんですね。

いや、でも今はバスケット漫画を描いていないので、昔のように貪るようには試合を観ていないんです。正直な所、『バガボンド』を描き出してからはバスケットどころじゃない時期もありましたし。だけどレイカーズの3連覇あたりから、またバスケット熱が上がり始めて。その後レイカーズが負け出したので、また下がっちゃったんですけど…って、もうただのレイカーズファンですね(笑)。でも今回の世界選手権で熱が再燃してきました。日本選手の試合をまた観に行こうという気持ちにもなりましたし、これからはヨーロッパのリーグも観ていきたいですしね。