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グランドジャンプ連載陣

バスケに対する想いは誰にも負けないと思っています───

※このインタビューは09年5月上旬、関東大会千葉県予選中に行われました。
――なぜ流通経済柏高校に入学することを決めたのですか?
「流経に入ろうと思った理由は、先生がすごく熱心で、自分たち生徒をしっかりずっと見てくれるっていうのを感じたので、それに憧れて入りました。」
――入学した後、自分のプレイスタイルは変わっていきましたか?
「そうですね。中学校の時はある程度自分で何でもできたかなっていう感じがしたんですけど、高校生になると役割っていうのがチームで決まっていて、その役割をこなすとか、チームの約束を徹底するっていうところが最初理解に苦しんだところです。」
――それをある程度理解できるようになってきたらチームがまとまってきた感じでしょうか?
「そうですね。そういう感じがします。ただ今でも誰を生かそうとか迷ってしまう所があるので、そこは修正したいと思っています。自分が行く所と周りを生かすところを色々なポジションからやれるようにしたいと思います。」
――技術的な質問ですが、どういう状況からでもしっかりとストップしてプレイしているなと思ったのですが、あのプレイスタイルというのは、いつからやっているのですか?
「あれは高校に入ってから先生に言われました。小中学校の時は全部つっこめという感じでしたけど、高校生は全然体つきも変わってくるので、しっかりストップしなければケガも起きるし、通用しないと言われて身につけました。」
――そのストップを身につけてから、プレイスタイルはガラリと変わったのでしょうか?
「そうですね。ストップしてからの合わせや、ストップしてからのシュートなど、今までできなかったことが次々とできるようになりました。」
――常に相手の状況を見ながらロングパスを狙ったりしているように見えましたが?
「それは昔からそうですね。元々速攻を出せたら常にロングパスを出そうという意識は強かったので、今でもロングパスを常に狙って、速攻にいけるように心がけています。」
――見ているとパスが強そうに見えますが、相手にピッタリ来るようないいパスが通っていましたね。そういう感覚というのは自分の中に持っているのでしょうか?
「ロングパスにしても、ほかのプレイにしてもまだまだ勉強中なんですけど、しっかり相手を見ることが大切だなということを心がけています。」
――アメリカに行きたいという気持ちが沸いてきたのは、いつ頃ですか?
矢代 小学校の頃です。始めてすぐくらい。兄もバスケットをやっていて、NBAっていうプロスポーツがあるよっていうのを教えてくれたんです。それでテレビを観ながら『アメリカって本当にすごいんだなぁ』という気持ちがあって、それでアメリカでプレイしたいなという気持ちが生まれてきました。
――憧れた選手とかいますか?
矢代 もう全員ですね。自分から見たら全員すごいんで、どの選手も憧れる存在ですね。
――「スラムダンク奨学金」の第1回、第2回の合格者は、全国でも名のとどろく選手でしたが、正直矢代さんは無名の選手。自分自身はどうして選ばれたと思いますか?
矢代 なんでですかね、自分でも不思議です(笑)。けれど、バスケに対する想いっていうのは誰にも負けないと思ってやってきているので、そこを評価してもらえたのかなって感じがします。
――将来的な、もう少し長い目で見た目標というか、渡米して自分の中で目指すものっていうのは何でしょうか?
矢代 とにかく向こうに行ったらスタートで出れるように。少しでも自分のプレイタイムがもらえるように全力を尽くす。常に、この先全力でやっていきたいと思います。

 

第3回奨学生の選考を終えて 井上雄彦

僕はバスケットボールと出会ったことで大変大きなものを与えてもらったと思って います。その感謝の形として、集英社の協力を仰ぎ設立されたスラムダンク奨学金。

このたびその第3期生が決定いたしました。

1期生、2期生はその世代のまさにトップの実績を持つ選手たちでした。今回合格しました矢代君は、その点で言えば全国大会上位とか U-18日本代表などの実績はない選手です。しかし彼の勇気と、これからの努力とが、このあとに続く日本中のプレイヤーに大きな勇気を与えることは間違いありません。

チャンスを自らつかみ取ること、それがこのスラムダンク奨学金の趣旨であり、ゴールでもあります。矢代君がこの機会を生かし、自らの可能性を広げてくれることを、心から願ってやみません。

今、日本中の体育館で汗を流している若きプレイヤーたちに、ぜひ彼らが切り開きつつあるこの道をさらに大きなものにしてもらいたいと思います。

勇気あるチャレンジを待っています。