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グランドジャンプ連載陣

#1 今バスケットに夢中な子たちに感謝を返したい

──『スラムダンク』メディア芸術100選第1位おめでとうございます。

ありがとうございます。

──まず奨学金設立の動機といきさつから聞かせていただけますか?

1億冊の記念として『スラムダンク』読者に対する感謝としては、これまで新聞への全面広告やイベントといった形にしてきましたが、実はもう一つ、バスケットボールそのものに対しての感謝の気持ちを形にしたいと、ずっと思っていました。バスケットボールというものがなければ『スラムダンク』もなかったわけなんです。この立上げに関しては、2年前から集英社の方と打合せと試行錯誤を重ね、今回ようやく設立までこぎ着けました。

──最初の構想は、いつ頃から?

『スラムダンク』の連載が終わって、しばらくの間アメリカで生活していたんですけど、その頃からですね。NBAを観戦したり、アメリカのバスケットの文化に触れていくなかで、たとえば成功した選手というのは、何かしら社会に還元する活動をしている。自分も何かバスケットへの恩返しができたらと考えるようになりました。

──社会への還元の選択肢は他にもあったはずですが、なぜ奨学金を?

日本のバスケットボールの未来は、これから出てくる選手、今バスケットに夢中になっている子供達にかかっていると思います。現実的に考えると、これから高校を卒業する子たち。

──「高校では終われない、君に。」が、まさに奨学金のコピーですが。

バスケットを知らない一般の方からすれば、高校まではあれだけバスケット部員がいて、みんな結構モテたりして(笑)、なのにみんな、その後どこに行っちゃうの?って感覚はあると思うんですよね。日本のバスケットをアメリカと比べるとやっぱり大学で決定的に選手のレベル差がつくと思うんです。

──今、アメリカのバスケはプロより大学の方が盛んと聞きます。

NCAAの1部とか凄いですからね。日本の大学バスケットも、もっと盛り上がってほしいですけど。

──日本で、大学バスケがアメリカほど盛り上がらないのはなぜでしょう?

そうですね、日本の場合インターハイで活躍する有望な高校生がいて、でもその中の一体何人が将来バスケットで食っていけるのか? 日本には実業団のスーパーリーグ、bjというプロリーグもスタートしました。でもプロ野球やJリーグに比べると一般への浸透度は低いと言わざるをえない。プロのプレイヤーを目指すというビジョンが描けないんです。だから、野球やサッカー以上に、プロフェッショナルなプレイヤーを目指すことが難しい。