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ナリのような若者には真のチャンスです───

※このインタビューは08年4月に行われました。
井上 なぜこの奨学金を漫画家の僕が作ったかというと、バスケットボールの漫画を描いて、それでみんなに支持をもらって成功することができたので、そのことに対しての感謝の気持ちを表したいと思ったからです。その方法として、日本の高校生に将来のチャンスを与えるということを考えました。それが将来的には、日本のバスケットボール全体の天井を上げることになれば最高だなと思います。
ジェファーソン なるほど。すばらしいお考えですね。奨学生としてやってくる若者は自らを試し、ハイレベルの中で競い合い、大学のディビジョン1でプレーするチャンスもあります。特にナリ(※第1期生 並里 成さんのこと)のような若者には真のチャンスです。今後やってくる若者たちにもです。
井上 この奨学金についてどう思われますか?また、いつこの制度をお知りになりましたか?
ジェファーソン この制度を知ったのは着任してからです。実際、ナリの方が1週間ほど早かったのです。私がこの仕事を引き受けたときには、彼はすでにキャンパスに来ていたわけです。「日本から若者が奨学生として来ている。すごくいいプレーヤーだ。」と聞いていました。彼に会って期待に胸が膨らみました。奨学金制度はコートでもコート外の活動でも、若者に活躍の場を提供するすばらしいものだと思います。異国の地で勉学、それにバスケット共に高いレベルに引き上げる機会があることは大変すばらしい経験になると思います。ですから奨学金制度には大賛成です。有意義だと思います。サウスケント、ナリそしてこれらの留学生にとっても意義あるものです。
井上 これまで、どんなチームをコーチしてきたかについて簡単な経歴を教えてください。
ジェファーソン 大学で13年間アシスタントコーチをしてきました。最後の9年間はディビジョン1のコーチです。9年間はディビジョン1で教えてきました。私のチームプランは、ディビジョン1のようなプログラム、つまり大学レベルのプログラムをこなしていくことです。大学で行っている練習やセットプレーを取り入れるつもりです。私のゴールは、ここを卒業し大学入学時には、次の段階のレベルの準備をできるだけ整えることです。さまざまな学校での私の経験と背景を生かせば、できると思います。大学レベルでは数々の成果を挙げてきました。それをここに持ち込みます。生徒たちが大学へ進学するまでには準備万端という訳です。
井上 ディビジョン1のコーチを9年間なさっていたとのことですが、どちらの大学ですか?
ジェファーソン バーモント大学で2年間。ワシントンD.C.のアメリカン大学で4年間。そこからストーニーブルック大学へ移り2年間。コルゲート大学で1年です。それからディビジョン1のコーチの前に、ディビジョン3のコーチをしていました。
井上 ディビジョン3では何年なさっていましたか?
ジェファーソン ウェズリアン大学で1年、セーラムステートで1年、U.S.マーチャント・マリン・アカデミーで2年。合計4年間です。
井上 これまでに日本人プレーヤーをコーチしたご経験は、ありますか?
ジェファーソン いいえ、ありません。今回が初めてです。多くのアメリカ人選手をコーチしてきましたが、日本人は今回が初めてです。
井上 外国の選手には、どんな印象をお持ちですか?
ジェファーソン アメリカン大学にはアフリカの選手達がいました。カメルーンそれからリトアニアからもいましたね。ストーニーブルック大学にはドイツ人の若者が1人来ていました。彼らは皆、熱心でとても控えめで、また向上心もある選手達でした。今回またこうした経験ができワクワクしています。
井上 今までコーチしてきた中で、特別に印象に残っている選手とか、傑出した選手などいましたら教えてください。
ジェファーソン いません。でもディビジョン3の選手全てかな。ご存知ないかも知れませんが、ディビジョン3にはバスケットの奨学金制度はありません。彼らは試合が好きだから、プレーしたいからという理由でやって来ます。学費も自分で払います。こうした若者をうらやましいと常々感じます。ただプレーに集中し他には何も求めません。ディビジョン1にはハイレベルな若者が大勢いますが、少し甘やかされた面があります。でもディビジョン3の若者は控えめで、バスケットを心から愛している。さきほど申し上げた教えがいのある、熱心な選手たちです。奨学金は受けていない。ただプレーしたいからいるのです。ディビジョン3の選手たちには本当に頭が下がります。
井上 若い頃のご自身の憧れの選手についてお伺いしたいのですが。
ジェファーソン 色々変わりましたね。まずマジック・ジョンソン、それからマイケル・ジョーダンがリーグに登場し、好きになりました。2人とも好きです。卓越した選手です。常にプレーに集中し、その一方でプレーを楽しんでいました。特にマイケル・ジョーダンは偉大な選手でした。
井上 現在、NBAや大学チームでお気に入りのチームはありますか?
ジェファーソン いいえ、ありません。バスケそのものが好きですから、試合を見るのは大好きです。選手にはこだわりません。特定の選手を応援する必要がないと更に楽しめます。それに負けてもがっかりしませんから!
井上 出身はどちらですか?
ジェファーソン コネチカットです。ノーウォークに住んでいました。南へ45分ほどですから、今の家からそれほど遠くありません。
井上 ここでの仕事は気に入っていますか?
ジェファーソン もちろんです。家から近いですし。未だに大好きなコーチ業に関わり、ここでハイレベルな選手を教えることができる。彼らは高い技術を持っていますから本当にワクワクしています。ここ、コネチカットでコーチを続け、有名大学でプレーする可能性を持つ若者をコーチできるとは本当に幸せです。
井上 ナリのプレーを見られましたか?また、有能な選手だと思われますか?
ジェファーソン まだ少しですが見ました。コート上の彼はすばらしいですよ。技術がしっかりしています。私の選手の評価基準は、ボールさばき、シュート、そしてパス回しの能力です。彼はこれら3つを全て備えています。更にディフェンスがすばらしい。コーチをする上でこれも大変重要です。彼のスピード、タフさ、そして常にコートで見せるひたむきさが好きです。ですから私は彼を非常に買っています。このまま彼が集中をとぎらせることなく、またわれわれも見守っていけば非常に優秀な選手になる可能性大だと思います。