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#6　やっぱりバスケットボールには、感謝なんです

──最後に。今回奨学生募集の対象は再来年の３月に卒業見込みの高校生、つまり現高校２年生なわけですが、先生は高２の頃、何を考えていましたか？

何も考えていませんでした（笑）。漫画家になるとも決めてなかったですし。３年間部活のために毎日学校に行ってましたね。ひたすら無自覚に（笑）

──バスケ部だったんですよね？

ええ、すごく弱かったですけど（笑）。だけど、バスケットボールが面白くてしょうがなかった。努力を努力とも思わず、夢中で頑張ることが出来た。レベルは低いなりに、上達する喜びというものがあるわけです。

──それまで出来なかった事ができるようになると、また頑張れる。

それはすごく大事な事だと思うんです。今思えば僕は高校時代、バスケットを続けていく中で努力したり、うまくなったり、思うようにいかなかったり、勝ったり、負けたり…いろんな思いを経験しながら成長する事が出来た。最終的な成績は全然ダメだったけど、３年間一つの事に夢中になって、やり遂げるという経験が出来た。その記憶が『スラムダンク』を描く原動力にもなったわけですから、やっぱりバスケットボールには感謝なんです。

PROFILE
	井上雄彦（いのうえ たけひこ） 鹿児島県出身。 1967年1月12日生まれ。1988年手塚賞入選作『楓パープル』でデビュー。代表作『SLAM DUNK』が2004年夏、単行本1億冊を突破。現在、週刊ヤングジャンプで『リアル』、週刊モーニングで『バガボンド』を連載中。キャラクターデザインを手がけた Xbox360用ロールプレイングゲーム『ロストオデッセイ』が2007年12月6日に発売。